二人が一番好きな写真 |
2008年9月,自宅にあるホールで開いた演奏会での二人 伸びやかにチェロを奏でる一夫の後ろで穏やかにピアノに向かう泰子 二人にとって一緒に演奏することは,自然な日常でした |
自宅にホールを作る |
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第一回の自宅での演奏会は,1989年4月 「家を建て替えたら本格的にやろうと思い,50名入れるホールを作ったんです」と一夫 「多いときは立ち見が出たの(笑)」と泰子 「たくさんの人の前で演奏するのは,緊張しますね」と話す泰子に対して, 「僕はあまり緊張しないです。程よい緊張が良くて」と余裕の一夫 |
何故ホールを作ろうと思ったのか |
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人を招き演奏の場を持とうと思ったのは一夫の両親の存在が大きく影響しています 一夫は小学校時代はヴァイオリンを習い中学校の時にチェロを弾き始めました 父親がものすごく音楽が好きで父と母も音楽の関係で結婚しました 母はお琴,父は尺八と邦楽を楽しみ,洋楽のレコードコンサートも開いていました 結核療養所の医師だった父は,療養所の中にある古いホールで,演劇や演奏会,時には自ら尺八を吹いたりもして,皆で音楽を楽しめる場を作っていました 自宅でも小さい時から音楽が身近にある生活で必ずレコードがかかっていました レコードは3分で終わってしまうので一夫がそれをひっくり返しにいく役目でした 姉弟も皆音楽好きです そういう生活の中にいたので,自分もいつか演奏会をと思っていました。 そして, 伴侶にはチェロの伴奏でピアノが弾ける人がいいと思う様になった頃,泰子と出会います |
二人の運命の出会い |
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1978年10月 二人が初めて会った時,泰子は音大を卒業したてでした。 福岡の実家を離れて,東京の音高から音大のピアノ科に進みました。 「ピアノが弾ける人」という一夫の希望を聞いていた親戚が泰子を紹介して,お見合いをすることになりました。 親代わりのお兄さんと現れた泰子は,お見合いはしても結婚する気はなかったようです。 人生経験になっていいかなというような気持ちでした。 「もう全然,全然,そんな気持ちはなかったよね。(笑)」 と当時を思い出し笑いながら話す泰子に 「おかしいでしょ。いつもこんな感じでニコニコしていて」と笑顔で泰子を見つめる一夫 でも一夫は 「最初に会った時,とってもいい人だなあっていう印象でした。」 「この人ともしかしだら結婚するかもしれない。と思った。」 と出会いの時から泰子に強く魅かれていました。 会って2ヶ月後の12月の終わり 一夫は,チェロの先生が毎月九州まで教えに行くのに同行して,突然,福岡の泰子の家を訪ねます。 もちろん演奏会のピアノ伴奏をお願いして楽譜を渡すためでした。 意を決しての訪問だったのに,少し喋った後,泰子用事があるからと出かけしまいました。 「びっくりしましたよ。緊張もしたし,何て言っていいか解らないし。」 と戸惑う泰子に 「楽譜を渡したら,出かけて行っちゃったんだよね。残されちゃったのでしかたなく・・・」 一夫は,泰子のお父さんと話すことになったんです。 しかし,それが良かった。 「彼女のお父さんもすごく音楽が好きな方で,音楽談義をしたんですよ。」 「だから,お父さんに気に入ってもらえた。」 そして,泰子も,お父さんの一言が大きく響く事になります。 『この人は変わらない。』と,『あの人は良いよ。』と泰子に伝えます。 「あの父が言ったことだから。」 「父が変わらないって言ってくれたことが,今も,あっ本当にそういう人だったんだなと思えます。」 大切な娘を託す信じられる人だと確信して,お父さんは泰子の背中を押したのでしょう。 泰子に,演奏会の伴奏をお願いしたものの, 練習予定の年明けになっても何の連絡もなく,一夫は不安になります。 「2月が過ぎた頃,本番も近いし,先生の奥様にピアノを頼もうか?諦めかけていた頃に,ひょっこり来たんだね。」 「ひょっこりね, ハハハハハ ( 笑) ごめんね。」 実は,一夫の訪問後,泰子の2人のおばあ様が亡くなられることが続きました。そんな慌ただしい中,連絡できないでいました。「今みたいに電話も中々できないしね。」 もう 一つ,偶然が重なります。 「 2月21日,私の誕生日に来たんですよ。」 「運命的だった。(笑)」 と一夫。 「全然。何にも知らなかった。」と泰子。 一夫の誕生日にひょっこり現れた泰子さんと, 「その日から毎日練習に来てくれて。毎日合わせたね。演奏会本番までは猛特訓で。」 「だってもう間に合わないもん,難しいし。」 この日から練習が続きましたが,お互いの奏でる音色を聞いたのは,この日が初めてでした。 「あの頃は,仕事がすごく大変な時期だったから,帰ってくるのが遅くて。」 「そうだね,もうちょっとやりたいと思っても,何か疲れている様な感じで」 「でも『合わせるのメトロノームでやりましょう 。』 とか言って( 笑)」 「悪いな悪いなと思ってたんだけど,合わせる時に合わないといけないでしょ?」当時の一夫を気遣う気持ちを語る泰子と, 頁剣に曲に向き合う泰子を楽しげに語る一夫。二人の練習風景が浮かびます。 二人で初めて音楽を作っていくことに集中していた時を,一夫は, 「すっごく充実してた。」「あれが一番,今迄の中でも充実していたかもしれないね。」と振り返ります。 一夫がこの人だと思った泰子は,「明る<て,可愛らしい人」だけでなく,「ピアノを弾いている時の姿勢もとても気に入りました。」 「勿論,彼女の演奏も好きだったから。」 泰子は「律儀で,優しくて」「父の言ったとおりの人でした。」 「一夫のチェロは本当に綺麗で,大好きなんです。」 難しいけれど,美しいこの曲,二人で丁寧に弾き直し音を重ねて,当日,「大変好評な演奏ができました」 |
その時のプログラムです 結婚前なので旧姓です |
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二人の出会いの曲(当時まだビデオがなかったので後日の演奏です) |